Satcth Cycle
ロードバイク、シクロクロスな自転車ブログ
シクロクロス

【CXを始めたい方へ】シクロクロスの魅力

シクロクロスとは

自転車に乗っている方なら、やったことはなくても名前だけはご存じではないでしょうか。
シクロクロスとは未舗装の悪路(オフロード)で行われる自転車競技の一つです。

ロードレース(実業団など)のシーズンは3月~10月前後ですが、シクロクロスのシーズンは10月~3月前後です。

そう、シクロクロスは「冬の自転車競技」

なぜかというと、元々ロードレースの選手のオフトレーニングとして始まった競技だからなんですね。
短時間高強度でオフロードを走行する為、身体的パワーの向上、自転車のコントロール技術の向上になると言われています。

コーステープが貼られた作られたコースの中で、斜面を走ったり、障害物を飛び越えたり、自転車を担いで走ったり。転んでも失格になりませんし、自転車に乗って走れない場所は担いで自分の足で走ります。乗っていけるところでも自転車から降りて走った方が速ければ、そちらを選択しても良いのです。

シクロクロス シケインこれがシケインと言われる障害物
キャンバー乗れないところは押したり
ドロドロこんな路面の時もありますw
波打ち際を走る砂浜を走ったり

運動会の障害物競走みたいなものですね笑

シクロクロスが大好きな理由

オフロードっておもしろい

オフロードと言っても、いろんな路面があります。
芝、砂、泥、砂利、土、根っこだらけの路面だったり本当に様々です。そんな路面なので天候によってかなりコンディションも変わります。

前日や当日の朝に試走が出来ますが、前日はいい天気で完全にドライ、乾いた芝がすべりやすいな、なんて思っていたのに、当日は雪が積もってコンディションが全く変わってしまった!なんてこともあります。

2018 全日本シクロクロス選手権マキノの前日試走2018 全日本シクロクロス選手権マキノの前日試走
2018 全日本シクロクロス選手権マキノ レース当日2018 全日本シクロクロス選手権マキノのレース当日。 一夜明けたら一面の銀世界に!
 出典:Cyclist

そういった路面や斜面などに少しづつ対応できるようになったりして「出来るようになる喜び」があります。登れなかった急な斜面が登れた時の喜びったら。
逆上がりができるようになった子供のようです。
オフロードには大人のやんちゃな遊びが詰まっています

ロードでは勝てない選手にも勝てる可能性がある

シクロクロスにはパワーとテクニックが必要です。
もちろん勝つためには身体的パワーが大前提ですが、少し足りないパワーを補うテクニックがあれば、ロードレースでは勝てない選手にも(何かの拍子にw)勝てる可能性はあるのです。
木の根っこや段差、コース上にはいろいろなパンクリスクが潜んでいます。
パンクするしないも偶然ではない、テクニックの差があります。
ガタガタ道を走るので、チェーンが落ちたりマシントラブルリスクも高い。

シクロクロスで勝つ、ということにはフィジカルだけではない、テクニックやマシントラブルへの対応力、その場その場の判断力(降りるか乗っていくか等)、総合的な力が必要になる為、フィジカルでは少し負けている選手にも勝てるチャンスはある訳です。
最後まで諦めずに走る、諦めなければ前が見えてくることがあります。

観戦が熱い!

ロードレースと違い、コースは狭く観客との距離が非常に近い為、応援(ガヤともいう)が半端ありません。登れない斜面や一番キツい見どころの箇所に観客が多くいて応援してくれるので頑張れちゃうのです。
初めて出場したら、きっと知らない人が応援してくれることに驚くと思いますよ。

そしてなにより、スタート直後のバトルが熱い!

スタートラインにはだいたい6、7人が横に並びその後ろにずらっと選手が続きますがコースが広いのは最初のうちだけでそのうちコース幅が狭くなります。
そのコース幅が狭くなるまでに、いいポジションを取って少しでも前方で入りたい為、スタートダッシュはすごい迫力です。
男子エリートなんてもう、圧巻!

初めて観戦する方は、是非スタートの熱いバトルに興奮してください。

カウベルカウベルと呼ばれる鳴り物。カランカラン鳴らして応援しましょう!

出典:Rapha Super Cross NOBEYAMA

自転車友達が増える

私もシクロクロスを始めて、とても自転車友達の輪が広がりました。

シクロクロスは冬場に1週間や2週間ごとに全国各地でレースがあります。
私が最初に参戦した関西クロスは、京都車連さんが関西一円でレースを開催、エントリーも全10戦や11戦といった形で一括エントリーするので、下手したら毎週のように同じような顔ぶれに会うわけです。
関東でも同様に、茨城シクロクロスや湘南シクロクロスなど各地で開催され、関東一円のシクロッサーはだいたい同じようなレースに参戦します。

そんな中でお友達がお友達を呼び、ロードだけで走っていた時から比べるとお友達が急増しました。自転車ライフもますます楽しくなります。

遠征でその土地の観光や食べ物を楽しめる

シクロクロスが行われる会場は、牧場や河川敷、山の中やビーチなどの自然の中が多いので、前日入りしてその土地のおいしいものを食べたり、会場にもキッチンカーや地元の出店などがあったりします。

タベルナエスキーナみんな大好き、タベルナエスキーナさん

出典:Rapha Super Cross NOBEYAMA

会場でピザを焼いたり、コーヒーを淹れたりデイキャンプのような楽しみ方もできます。
(※火気厳禁の会場もあります)

レースだけでなく、その土地の魅力を感じたり、大自然の中でキャンプを楽しんだり。
シクロクロスのもうひとつの楽しみ方です。

どんなルールなの?

競技ルール

シクロクロスは距離ではなく時間制で行われ、1周2.5~3.5km程度の舗装・未舗装が入り混じるコースを周回する。 一斉にスタートを切り、1位の選手の周回タイムを参考に、定められた競技時間(30~60分)に近くなる周回数が競技中に設定され、ゴール着順を競う。 日本においては男女ぞれぞれ実力別カテゴリーが確立され、初心者から競技経験者まで、誰もが無理なく安全にレースに挑戦できる。

引用:AJOCC 一般社団法人日本シクロクロス競技主催者協会

つまり、30分(カテゴリーによって時間が異なる)で、4周(周回数はレース中に決まる)走って誰が一番にゴールするか!というレースです。

では「カテゴリーによって時間が異なる」、「周回数はレース中に決まる」についてご説明してきましょう。

カテゴリーについて

競技時間は、カテゴリーによって決められています
例えば「女子実力別カテゴリー」だと

CL1(17歳以上) 40〜50分
CL2(中学生以上) 30分 
CL3(中学生以上) 15分 

となります。

それぞれのカテゴリーを見てみましょう。

「CL3」初心者カテゴリー お試し参戦!

私も最初は関西シクロクロスで、通称「エルスリー」の15分レースから参戦しました。
お試しカテゴリーなので、敷居が低く気軽に参戦するにはもってこい

関西シクロクロスでは、CL3というカテゴリーがきちんとありレース時間は15分。
ただ、関東や他地域のシクロクロスはまだ女子参加人数自体がそれほど多くない為、実質CL3はあってないような状態…

「CL3でのエントリー自体がそもそもない」「CL3のエントリーはあっても時間はCL2と同じ30分で同時出走、表彰もCL3個別には表彰されない」などといった感じでしょうか。

お試しで一度参戦してみたい!という場合、CL3の15分レースがあればCL3にエントリー、CL3自体エントリーがない、もしくはあってもCL2と同時出走の30分、表彰もCL2と合わせての表彰という場合は、CL2から始めれば良いと思います。

※同時出走でもCL2とCL3でそれぞれ1-3位を表彰してくれる場合は、表彰台狙いでCL3にエントリーする価値はあると思いますよ!

シクロッサーみんな大好き「Rapha Super Cross Nobeyama」長野県の野辺山で行われるシクロクロス大会は、L2とL3同時出走の30分レースですが、別々に表彰してくれます。

CL3からCL2には自己申告で自由に上がれます。
CL3に慣れたら、次のレースはCL2でエントリーしてみましょう!

「CL2」一般カテゴリー 初心者からベテランまで

時間は30分。
最初からCL2にエントリーすることももちろん可能(こちらの方が多いかもしれません)なので、通称「エルツー」は、初心者から何年もシクロクロスを楽しむベテラン女子まで、幅広い選手層がいます。

現在のルールとしては、
1度優勝すれば「CL1」へ昇格することが出来る(任意)、
2度優勝した場合は「CL1」へ昇格しなければならない(必須)、となっています。
※ただし、6人以上が出走したレースでなければ昇格対象レースとなりません。

CL1に昇格するといばらの道が待っている(と思う人もいる)ので、2度優勝してしまって渋々昇格する、という人もいます(←贅沢w)

CL1昇格を目指すもよし、楽しみで走るのもよしのCL2カテゴリー

私は一度優勝した時に、このチャンスを逃したら2度とない!と速攻昇格して、現在いばらのCL1道を歩んでいます

「CL1」エリートカテゴリー 素人からプロまで

時間は基本的に40分。国内トップカテゴリー、エリートです。
レースの規模にもよりますが、UCIという冠がつくレースには、海外選手が参戦しに来日したりもします。(UCIは世界戦でUCIポイントを稼ぐため)

2021年東京オリンピック MTB日本代表の今井選手や、世界で戦う2021年東京オリンピックロード日本代表の与那嶺選手、ロードトップ選手の弱虫ペダルサイクリングチーム唐見選手なども参戦するカテゴリー。

それなのにちょっとしたレースで優勝して、通称「エルワン」で走っているさっちのような普通のおばさんもいる、これもまたかなり実力差が激しいカテゴリーです。

その為、UCIやJCXという規模の大きなレースでは、「80%ルール」なるものが適用されます。
レース後方の選手が上位選手の邪魔することの無いように設けられたもので、
トップを走る選手の1周のラップタイムに80%をかけたタイムが目安になる為、「80%ルール」と言われています
ゴール手前に設置された「80%ゾーン」をトップ選手が通過してから、目安の時間を過ぎてそのゾーンに来た選手は、審判の指示に従い退出しなければなりません。
次の周回には入れずレースが終了する、ということです。

私はいつも「80%ゾーン」を通過する時にドキドキして、通過出来たらホッとしてまたもう1周頑張れます
「はい、こっちに出て~」と審判に指示されコース外に出されると、泣きます笑

そんな厳しいカテゴリーですが、トップ選手と同じスタートラインに立てることはすごい経験ですので、「エルワン」を目指してくれる女子選手が増えてくれると嬉しいです。

女子に特化したカテゴリー解説になってしまいました。男子の皆様すみません!
男子の皆様は、お誘いする女子に説明する時の参考にしてくださいねw

男子のカテゴリー区分は大変細かく、昇格基準なども年によって変更がありますので、詳しくはAJOCCホームページにてご確認ください。

周回数について

周回数はレース中に決まる」とはどういうことでしょうか。

例えば、レーススタートしてトップの選手が1周回を約7分で走ったとします。
30分カテゴリーの場合、約7分×4周回だとトップが28分前後でゴールできることになるので、恐らくこの場合の周回数は4周回になります。

2周目、3周目あたりで「残り2周」などの表示が出ますので、レース中に「4周回だな、5周回だな」というのが分かるのです。
レースが始まる前に試走をしますので、だいたい1周何分ぐらいという予想ができ「多分4周回だな!」などの予想はできますが、トップ選手がめちゃめちゃ速かった場合「4周回だと予想していたのに5周かよ!」とレース中に絶望することがあるので笑、多めの周回を予想していた方が良いかもしれません。

男子カテゴリーでは、同じ30分レースなのに「カテゴリー4」は4周だったが「カテゴリー3」は5周だった!(カテゴリー3のトップ選手が速かったため)ということが起こります。

トップ選手に後ろから抜かれると、トップ選手より1周回少なくゴールすることになります。それが「周回遅れ」です。

リザルトには「−1LAP」というような表示がされます。

レースの規模や主催者判断によって、周回遅れになるとレース途中でおろされることもありますが、エリートカテゴリー以外はほとんどおろされることはありませんので、周回遅れになっても最後まで諦めずに走りましょう!

どんな自転車で走るの?

一見ロードバイクに似たシルエットをしていますが、オフロードを走ることに特化したシクロクロスバイクです。
下記のような特徴が挙げられます。

  • 泥はけのよい、担ぎやすいフレーム設計
  • 空気圧を低くしてもパンクしにくいタイヤの種類と幅
  • 泥にも強いブレーキ

「泥はけがよく、担ぎやすいフレーム設計」

シクロクロスでは、シケイン(障害物)や、自転車では走れないところ(地形的にも技術的にも)、もしくは、乗っていけることはいけるけど降りて走った方が速い!というところでは、バイクを担いたり押したりします。

その為、フレームの前三角が大きく設計され肩が入りやすくなっています。
また、泥などがつまらないように、フレームとタイヤのクリアランスが広い設計になっています。

自転車を担ぐ担ぎやすい三角のジオメトリー、ボトルゲージもつけません。
泥詰まりそれでもこんなに泥が詰まってしまうことがあるんですねw

「空気圧を低くしてもパンクしにくいタイヤ」

シクロクロスは、ロードバイクでは考えられない程、低い空気圧で走ります。

乗る人の体重や、天候、その日の路面状況、舗装路と未舗装路の割合など状況に応じて、自分に最適な空気圧は変わりますが、だいたい1.2~1.8気圧ぐらいです。

その為、低い空気圧でもパンクしにくい「チューブラータイヤ」や「チューブレスタイヤ」を主に使用します。
(もちろんクリンチャータイヤ(チューブが入ったもの)もあります。)

リム幅は、基本的に~33C程度の太いブロックタイヤ。(注1)

タイヤ自体にチューブラータイヤやチューブレスタイヤと構造の違うタイヤの種類がありますが、さらにコンディションによって、雨や泥用のマッド、晴天や砂用のドライ、オールマイティな汎用性のあるものブロック形状を選択するなど、タイヤに関しては多くの選択肢があり、かなり奥深いです。(今後、別途記事でご紹介したいと思います。)

そのコンディションに合わせてバイクのセッティングを考えるのも、レースに参加する楽しみのひとつなんですね。

 注1:上位カテゴリーはタイヤ幅が~33Cまでと規定で決まっていますが、それ以外のカテゴリーはもっとタイヤの太いグラベルロードバイクやMTBでの参戦も可能です。
※グラベルロード:30cから45c程度までの太いタイヤが入る、グラベル(砂砂利)を走れる仕様のロードバイク

ロードバイクは6気圧、7気圧、タイヤ幅も23Cか25C程度。
ロードバイクとシクロクロスでは、全く走り心地が違います

「泥に強いブレーキ」

制動性の高い「ディスクブレーキ」が主流です。
今はロードバイクもディスクブレーキが主流になってきましたね。
以前はカンチブレーキというものが主流でしたが、現在販売されているシクロクロスバイクはほぼディスクブレーキ仕様になっている為、ご説明する必要はないのかもしれません。

ただし、つい数年前まではカンチブレーキ仕様が主だったため、今でもカンチブレーキ車に乗って参戦している方はもちろん沢山いますし、中古で出回るシクロクロスバイクもカンチブレーキ車が多いかもしれませんので、そういうブレーキのバイクもあるというご説明だけ。
シクロクロスを始めるにあたって、続けるかどうかわからないし、知人から譲ってもらったり中古で購入する、という場合も多いでしょう。

無料で(それに近い価格で)譲ってもらえる場合は、カンチブレーキ車でももちろん良いと思いますが、数万円でも払う場合は、新車や中古のディスクブレーキと比較検討してみてください。
特に握力の弱い女子にこそ、ディスクブレーキ車をおすすめします。

ざっくりとシクロクロスというものをご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
少しでも楽しそうと思ってもらえれば幸いです。
参戦する人も、応援専門の人も、みんなが楽しいシクロクロス